藤本道春さんが徳島新聞遠くでトークに掲載されました

 

藤本通春さん(スター・シニアスタッフ)

10/1 17:00徳島新聞

もらった名刺は全て律義に保管している。最近、重さを量ると11キロあった。「名刺はだいたい100枚で100グラム。1万1千人ぐらいの人と出会ったのかと思うと、感慨深い」と目を細める。

 洋食が富裕層向けだった100年近く前から、京都市で大衆向けのレストランを展開している企業「スター」で、営業のシニアスタッフを務める。パーティーや宴会に料理を運んで配膳するケータリング部門で、府内の企業や大学などから多くの注文を受ける。73歳の今も活躍を続ける。
三好市の三野中学校を卒業し、集団就職で入社。駆け出しの頃はレストランのホールスタッフだった。老舗の店には全国各地からいろんな人が集まる。「言葉や県民性の違うお客さんと話をするのが面白かった」と接客の楽しさを知った。それから約20年後に任されたのがケータリングの営業だった。

 モットーは「小まめに、真心を込めて」。企業の記念行事、大学主催の学会のパーティー、保育園の謝恩会・・・。「ニーズあり」とみれば小まめに売り込みをかける。一度利用してもらえば、真心を込めて顧客と付き合い続けた。

 配膳をしていると、しばしば「大物」に出会う。例えば元官房長官の故・野中広務さん。「先生、お元気ですかと声を掛けたら気さくに応じてくれ、包容力を感じた」と懐かしむ。

 ある有名企業が若手社員向けに開いた研修会のパーティーでは、喜びに満たされる経験もした。「会長さんは私を社員にも紹介し、『この人の気配り、目配りを見習うように』と言ってくれた」
営業マンとして脂が乗った40歳の時に母が亡くなった。その1年後、後を追うように父が逝った。「離れて暮らしていたため、あまり親孝行できなかったのが心残りだ」と涙ぐんだ。 

 ふじもと・みちはる 三野中卒。1962年にスター食堂(現スター)に入社。50年間、接客業に従事し、京都府知事賞、京都市長賞、京都市観光協会賞を受賞した。2011年から同社シニアスタッフ。京都府宇治市在住。73歳。